屋根のカバー工法とは?工法やメリット・デメリットをご紹介

既存屋根を修復・交換する際、「カバー工法」を選ぶ方は多いです。

カバー工法では、リーズナブルなのに本格的なリフォームを実現できます。

カバー工法の特徴やメリット・デメリットを知り、納得のいくリフォームをしてください。

カバー工法の施工例

町田市にて屋根修理 (コロニアル屋根からスーパーガルテクトにカバー工法)

町田市にて屋根修理(カラーベストからスーパーガルテクトにカバー工法)

町田市にて屋根修理(カバー工法)

町田市にて屋根修理(スレート屋根からしおさいにカバー工法)

町田市にて屋根修理(スレート屋根からディプロマットにカバー工法)

町田市にて屋根修理(スレート屋根からエコグラーニにカバー工法)

カバー工法とは?

カバー工法とは、既存の屋根材の上に新しい屋根材をかぶせる方法です。

「カバールーフ工法」「重ね葺き」などの名称が使われることもあります。

カバー工法は、平らな屋根材の上なら基本的に施工できます。もっとも多いのは、スレート屋根の上に、「ディプロマットスター」「エコグラーニ」「SGL鋼板」「ガルバリウム鋼板」「アスファルトシングル」「ジンカリウム」などを重ねるケースがほとんどです。

一般的な屋根リフォーム(葺き替え工法など)では、既存の屋根材を剥がすため、大掛かりな解体作業が必要です。これに対してカバー工法は、既存の屋根材はそのままに、新しい屋根材を乗せるだけで施工完了。費用が抑えられるうえ、工期も短めなので、たくさんのご家庭に選ばれています。

カバー工法の工程は、大きく分けて5段階です。

1 棟板金の撤去:屋根材のすき間を覆うことで、雨漏りを防止します

2 防水シートの設置:屋根材はパーツごとにすき間があります。防水シートを設置することで、水分や湿気から下地を保護。別名「ルーフィング」

3 防水シートの上に新しい屋根材を張る:防水シートの上から、新しい屋根材を張っていきます

4 付帯部分(貫板や棟板金など)を施工:屋根材のパーツ同士をつなぎ合わせるために、貫板や棟板金を設置します

5 仕上げ:棟板金のつなぎ目をコーキングしたら完成です。要望や地域によっては雪止めを設置することもあります

葺き替え工法では、上記5つの工程はそのままに「既存屋根材の撤去」「野地板のチェック」の工程がプラスされます。

カバー工法は葺き替え工法に比べてコンパクトな施工で済むことがわかりますね。

カバー工法のメリット5つ

カバー工法の主なメリットは5つです。

「リーズナブル」「工期が短い」「家の性能向上」「構造材を痛めにくい」「野地板の結露防止」のそれぞれについて詳しく見ていきましょう。

リーズナブル

先にお伝えしましたが、カバー工法は一般的な「解体⇒撤去」のリフォームに比べて低コストです。

解体にともなう廃材が出ないため、家計にも環境にやさしい工法といえるでしょう。

工期が短い

カバー工法は、葺き替え工法に比べて工程が少なめです。

葺き替え工法の工期の場合6~8日間なのに対して、カバー工法は3日程度の目途です。(天候によって左右します)工事を早く終わらせられると、生活への影響やご近所への配慮も最小限で済みますね。

家の性能向上

カバー工法は、家の性能向上にも貢献します。

「断熱性」「遮音性」が上がれば、ますます暮らしやすい家になるでしょう。

断熱性

カバー工法では既存の屋根材の上から新しい屋根材をかぶせるため、屋根がいわゆる“二層構造”になります。屋根材が厚くなればそれだけ断熱性が向上するので、常に家の中を快適な温度にキープできるでしょう。

遮音性

“二層構造”になると遮音性も向上します。

「深夜に車の走行音で起きてしまう」「線路が近いので騒音が気になる」という方は、カバー工法でのリフォームをおすすめします。

構造材を痛めにくい

職人の技術によっては、屋根の張替え(葺き替え工法)の際、雑に剥がすことがあります。

無理に力を加えると、屋根の構造材である垂木(たるき)や野地板などに負荷をかけてしまいます。

別の業者に点検してもらう機会があった際に「構造材が傷んでいると指摘された」……という事例は決して少なくありません。屋根は見えにくい部分だからこそ、細かく丁寧な作業が求められるのです。

カバー工法では、既存屋根材を剥がす工程がありません。構造材を痛めるリスクが一切なくなるので、安心して依頼できるでしょう。

野地板(のじいた)の結露防止

屋根の下地に使われる、野地板。

野地板は湿気によって結露しやすく、症状が進行すると腐って屋根材を固定するのが難しくなってしまいます。「台風で屋根材が剥がれてしまった」という事例は少なくありませんが、野地板の結露が原因であることも多いのです。

ある実験によると、カバー工法でリフォームすると、野地板裏面の温度が15℃程度下がるそうです。自然災害による思わぬ事故を防止して、ご家族や他人の命を守りましょう。

カバー工法のデメリット4つ

リーズナブルだったり家の性能を上げられたりするカバー工法ですが、デメリットもいくつか存在します。

「使用できる屋根材が限られる」「耐震性の低下」「屋根内部を点検しにくい」「今後のリフォームや補修が高額になりがち」の4つについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。

使用できる屋根材が限られる

カバー工法で使う屋根材は、ある程度限定されています。

なぜなら“二重構造”になると家の重量が増加してしまうので、軽量な素材を使わなければならないからです。

「葺き替え工法では使えるがカバー工法では使えない」という屋根材は少なくないので、業者とよく相談しましょう。

少し前まで、カバー工法ではガルバリウム鋼板での施工が主流でした。

しかし最近では軽量な屋根材が多く開発されているため、選択肢が徐々に広がってきています。

しかしそれでも葺き替え方法ほど選択肢は多くないのでご注意ください。

耐震性の低下

先にお伝えしましたが、カバー工法では屋根が“二重構造”になるため、建物の負担が大きくなりがちです。

特に屋根材は建物の重心に関わるため、地震が起きると揺れやすくなります。カバー工法では基本的に軽量な屋根材を使うのでそこまで大きな影響は考えられませんが、それでも壁が薄かったりアンバランスにデザインされたりしている建物には不向きでしょう。

屋根内部を点検しにくい

カバー工法は、既存屋根材の上に新しい屋根材を乗せるのが特徴です。

そのため、既存屋根材の奥や下地まではチェックできないのでご注意ください。

たとえば、雨漏りしたことのあるご家庭では、屋根の内部で腐食が進んでいるかもしれません。カバー工法では補修したり改善したりできないので、気になる点があればまずは業者に相談してみましょう。

今後のリフォームや補修が高額になりがち

カバー工法はリーズナブルな工事ですが、今後また屋根材をリフォームする必要が出てきたときに費用がかさむ恐れがあります。

“二重構造”になっている分、屋根を剥がすのが大変になるため、費用も工期も多め(長め)になるのです。

長い視点で見たときに、トータルで支払う金額は、葺き替え工事だけでリフォームした場合とほとんど相違なさそうです。「今はまとまった金額を捻出するのは難しいけれど、今後コツコツと貯めていく予定」という方は、「今回はカバー工法で」と選択するケースが少なくありません。

まとめ

屋根のカバー工法とは、既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ねるリフォーム方法のことです。

「リーズナブル」「工期が短い」「家の性能向上」「構造材を痛めにくい」「野地板の結露防止」などさまざまなメリットがありますが、雨漏りが気になっている方はその症状を改善できるわけではないのでご注意ください。

まずは業者に、今の屋根の状態を見てもらったり要望について相談したりしましょう。

カバー工法でリフォームして、リーズナブルに快適な家をつくってください。