人気の屋根材「ガルバリウム鋼板」とは?メリット・デメリットを解説

人気の屋根材「ガルバリウム鋼板」とは?メリット・デメリットを解説

建築業界で注目を集めているのが「ガルバリウム鋼板」です。この建材は、亜鉛、アルミニウム、シリコンで構成される「ガルバリウム」合金でメッキ処理を施した鋼板で、優れた耐久性と軽量性を特徴としています。

本記事では、建築現場で重要な役割を果たしている「ガルバリウム鋼板」について、その特性と長所・短所を詳しく解説します。

ガルバリウム鋼板について

ガルバリウム鋼板はアメリカの「ベスレヘムスチール社」が開発した建材で、その後日本に導入されました。現在は「日本製鉄株式会社(NIPPON STEEL)」が商標権を保有しています。

そのため、各建築メーカーは類似製品を販売する際、ガルバリウムに似た独自の製品名を使用しています。

鋼板とは板状に加工された鋼材のことで、鉄と比べて強度が高く、加工性に優れているため建築資材として広く使用されています。ただし、未処理の状態では錆びや腐食が課題となります。

特に屋根材として使用する場合、雨水による劣化を防ぐ必要があります。そこで表面処理技術が重要になります。鋼板表面にメッキ加工を施すことで、素材を保護する「表面処理鋼板」が生まれました。

ガルバリウム鋼板は、この表面処理鋼板の一種で、以下の特殊な合金配合でメッキ処理されています:

・アルミニウム55%
・亜鉛43.4%
・シリコン1.6%

この独自の配合比率が、ガルバリウム鋼板の特徴を決定づけています。

ガルバリウム鋼板の主な特長

建築材料として広く採用されているガルバリウム鋼板には、多くの優れた特長があります。以下で主な特長を詳しく見ていきましょう。

優れた耐震性と軽量設計

建築物の耐震性能において、屋根材の重量は重要な要素です。ガルバリウム鋼板は従来の瓦屋根と比べて大幅に軽量化を実現し、地震時の建物への負荷を軽減します。具体的には、スレート屋根の5分の1、瓦屋根の10分の1という軽さを実現しています。

優れた耐食性能

ガルバリウム鋼板は特殊なメッキ処理により、従来の金属屋根材の弱点であった腐食への耐性を大幅に向上させています。表面の合金層(亜鉛43.4%、アルミニウム55%、シリコン1.6%)が保護膜となり、優れた防錆効果を発揮します。

特筆すべきは、アルミニウムによる酸化被膜形成と亜鉛による犠牲防食機能の組み合わせです。これにより、従来のトタン屋根と比較して約4倍の耐食性を実現しています。

効果的な温度管理機能

高いアルミニウム含有率により、優れた熱反射性能を備えています。この特性により、夏場の屋根面温度上昇を抑制し、室内環境の快適性向上に貢献します。

メンテナンス性の向上

金属素材の特性により、雨水の吸収がなく、コケやカビの発生を抑制します。従来のスレートやモルタル系の屋根材で見られる、水分吸収による劣化の心配がありません。

さらに、表面の汚れが付きにくい特性により、熱反射性能を長期間維持することができます。

高い耐久性と信頼性

金属製の特性を活かし、セメント系建材で懸念されるひび割れのリスクを大幅に低減しています。また、水分を吸収しない特性により、寒冷地で問題となる凍害への耐性も備えています。

ガルバリウム鋼板を選ぶ際の注意点

ガルバリウム鋼板には素晴らしい特徴がたくさんありますが、導入を考える際には以下の点について考えておく必要があります。

費用について

ガルバリウム鋼板の屋根は、スレート屋根などと比べると最初の費用が高めになります。

ただし、長持ちする上にお手入れの回数も少なくて済むため、長い目で見ると総費用を抑えられる可能性があります。導入時には、目先の費用だけでなく長期的な経済性も含めて検討することをおすすめします。

傷への対応

ガルバリウム鋼板は表面加工のおかげで丈夫ですが、傷がつくと防食効果が損なわれることがあります。

特に台風の時は、飛んでくるもので傷つく可能性があるので注意が必要です。台風が過ぎた後はしっかり点検を行い、早めに傷を見つけて直すことが大切です。小さな傷であれば、専用の塗料で直すことができます。

衝撃に対する弱さ

金属でできているため、強い衝撃を受けるとへこんでしまうことがあります。大きなへこみは建物の構造に影響を与える可能性があるので、設置後は保護対策をしたり、定期的に状態を確認したりすることをおすすめします。

温度への配慮

金属製の屋根材は熱を伝えやすいという特徴があります。夏の暑さを和らげるには、断熱材が組み込まれた製品を選ぶとよいでしょう。

室内の温度管理を大切にお考えの場合は、いくつかの対策を組み合わせて検討されることをおすすめします。

▷代表的な断熱材入の屋根材「アイジー工業のスーパーガルテクト」「ニチハの横段ルーフ

まとめ

近年の建築現場では、ガルバリウム鋼板が屋根材や外壁材として広く使われるようになってきました。

軽くて長持ちする特徴を活かし、新しい建物を建てる時はもちろん、古い建物を地震に強くする工事でも大切な役割を果たしています。

また、建材の技術は日々進歩しており、「エスジーエル鋼板」という新しい素材も登場しました。これらの優れた建材が、これからの建築の可能性を広げていくことでしょう。