棟板金に欠かせない「貫板」について解説!

棟板金に欠かせない「貫板」について解説!

屋根のもっとも上の位置にあり、屋根材を固定する役割を果たしているのが「棟板金」ですが、その棟板金を固定するのが「貫板」です。
棟板金を設置する際に欠かせない部材となっているのが貫板なのですが、その働きなどについてはまだまだ知られていないこともあります。
そこでここでは貫板の特徴やメンテナンス方法について紹介していきたいと思います。

貫板とはどういったものか

貫板は屋根の頂上部分にある「棟板金」とセットで考えられる重要な部材です。
まずは貫板とはどういったものなのか、どんな役割を果たしているのかについて紹介していきます。

貫板の概要とは

貫板はスレート屋根などの棟板金を固定するための下地材のことを指しています。
棟板金の内部には貫板と呼ばれる板状のものがあり、その貫板に棟板金を被せて釘を打ったりして固定をしています。
昔は貫板は木製のものが多かったのですが、木製の貫板は経年劣化によって腐食していくという特徴があります。
木製のものは「杉」が使われることが多くありました。

木製の貫板は雨水などによって腐食、劣化していくことがあるために最近では樹脂製の貫板を使用することが多くなってきています。
これは樹脂製のものは腐食が起こらず劣化しにくいためです。

貫板の劣化について

貫板は周囲を棟板金によっておおわれているのですが、棟板金の釘の穴やつなぎ目などから雨水が侵入することによって腐食していきます。
特に昔の建物の貫板は木製のことが多いため、雨水などの水分や湿気に弱く、それが原因で腐食していってしまうのです。
こうして貫板が腐食、劣化していくと棟板金を固定している釘やビスが抜けやすくなり、固定力が弱まります。
棟板金を固定する力が弱くなると強風の際などに棟板金が落下したりすることにもつながるため、非常に危険です。
また、棟板金が浮いてしまう、剥がれてしまう、落下してしまうと屋根の頂上部分から雨水が大量に侵入することとなるため、雨漏りにもつながります。

貫板が受けやすい被害とは

貫板がもっとも受けやすい被害は「風災」です。
貫板が設置されている棟板金は屋根の中でももっとも高い頂上部分にある部材です。
そのため、風の影響を強く受けることが多く、棟板金が飛散してしまう、落下してしまうということがあります。
棟板金が飛散してしまう時には、同時に貫板も飛散してしまうということが多くあります。
風災については適切な火災保険に加入していれば、補償されることが多いのですが、メンテナンスの状態などによっては適用されないこともあるので、十分な確認が必要です。

「錆」「揺れ」などの被害も大きい

棟板金と貫板を鉄製の釘で固定させている場合などは「」が問題となることが多くあります。
釘が錆びてしまうことで棟板金と貫板の固定力が弱くなってしまうのです。
こうしたことを防ぐために最近ではステンレス製のビスなどで固定することも多くなっています。
また、「地震によって」「風によって」棟板金が揺れるということも固定力が弱くなる原因です。
何度も細かく揺れることによって釘やビスが緩んでくるのです。

貫板のメンテナンスは棟板金と一緒に行う

貫板は棟板金の内部に設置されているために、棟板金を外さなければ確認することはできません。
そのために貫板だけをメンテナンスするということはなく、棟板金などと一緒に行うこととなります。
ここでは貫板および棟板金のメンテナンスについて紹介していきます。

貫板と棟板金のメンテナンス方法について

・釘を打ち直す場合
これはおもに貫板が木製の時に行う方法です。
経年劣化によって釘が緩くなっていき、固定力が弱くなるということがありますので、釘を打ち直すということを行います。
一般的に棟板金は7~10年ほどで釘が緩くなってくると言われており、風が強い、雨が多いという地域では5~7年ほどで発生してくるとされています。
その際に貫板が腐食していないか、釘を打った時の固定力が維持できているかどうかを確認しておきましょう。
釘を打つだけと考えるかもしれませんが、場所が屋根の頂上という場所ですので、自分では行わず業者に依頼するのが安全です。

また、釘を打つ際には、釘を真上方向から打ち込む「脳天打ち」は釘穴に隙間ができてしまいます。
隙間ができるとそこから雨水が侵入してしまう原因となるため、棟板金を釘で打つ場合には側面から打ち込むのが基本となります。

・屋根塗装を行う場合
棟板金が金属製であってもやはり経年劣化はしてきます。
ひび割れが起きていたり、破損していたりしていれば交換しなければいけませんが、色あせが起きている程度であれば塗装することで補修できる場合があります。
棟板金などだけを塗装するということはなく、屋根全体の塗装の際に一緒に行うこととなるでしょう。
この時に貫板についても確認を行うこととなるのですが、貫板は棟板金を外さなければ確認できないため、必ず一度棟板金を外して貫板が劣化していないかどうか確認することが重要です。

・シーリング材の充填する
棟板金や貫板が劣化していなかったとしても周囲に打ち込んでいるシーリング材が劣化しているということが起きます。
シーリング材の耐用年数は5~7年前後と棟板金よりも短くなっていることが多いので、定期的にメンテナンスをしていないとシーリング材がひび割れしたり、剥がれてしまっているということがあります。
シーリング材が劣化しているとそこから雨水が侵入し、中の貫板が雨水に濡れて劣化していくということがあるため、シーリング材は定期的にメンテナンスをしていきましょう。

ただ、隙間があると雨漏りの原因になるからといって必要な隙間まですべてシーリング材でうめてしまうのは間違いです。
必要な隙間まですべて埋めてしまうと内部の換気がまったくできなくなり、湿気がすべて溜まってしまうこととなります。
その隙間が必要なのかといったことは素人では判断できないことが多いため、これも専門の業者に任せるのが安心です。

貫板や棟板金を交換することについて

貫板は腐食していたり、激しく劣化している場合には交換することとなります。
棟板金についても塗装などで補強できないほど、破損しているといった場合には交換することとなります。
ここではそのように交換が必要となる場合について紹介していきます。

貫板の交換について

棟板金を固定している貫板ですが、こちらは経年劣化してきた場合は新しい貫板に交換するというのが一般的な方法となっています。
昔は木製の貫板が劣化してきたら、新しい木製の貫板に交換をするのが普通でしたが、最近では耐久性の高い樹脂製の貫板に交換することが多くなっています。
貫板を交換する際には1mあたり5000~10000円ほどの費用がかかります。
既存の劣化した貫板を解体して撤去し、新しい貫板を設置するということになります。
その後、棟板金を被せて固定するという流れとなります。

棟板金の交換について

貫板を交換する際には必ず棟板金を外して行うこととなります。
この棟板金がまったく劣化していないのであれば釘の打ち直しや塗装だけで良いのですが、棟板金が割れている、破損している、腐食しているというときには新しいものに交換することとなります。
棟板金は1mあたり7000~12000円ほどの費用がかかります。
こちらも既存の劣化した棟板金を外して撤去し、新しいものに交換するのですが、棟板金を外している間に下地材などのメンテナンスを行い、それらが終わってから新しいものを設置して固定するという流れになります。

貫板や棟板金を交換する際のポイントについて

貫板や棟板金は劣化が進んでいる場合は新しいものに交換することとなります。
この際に注意するべきこと、知っておくと良いことを紹介していきます。

・耐久性が高いものに交換する
貫板や棟板金はその素材によって耐用年数、耐久性が大きく違っています。
例えば貫板を木製のものから樹脂製のものに変えることによって腐食、劣化の危険性を低下させることができます。
棟板金についても古い鉄製のものからガルバリウム鋼板などのようなものに変えると「軽量化」「耐久性の向上」が期待できます。
このように交換する時は、新しい素材のものに変えるチャンスでもありますので、耐久性が高いものに変えていくと良いでしょう。

・棟板金に棟換気(換気棟)を設置する
棟板金や貫板に限らず、屋根の部材を劣化させていく大きな原因となるのが「湿気」です。
屋根の内部、棟板金の内部に湿気が溜まってしまうことが一番の劣化原因となっているのです。
そこでこうした貫板や棟板金の交換の時に「棟換気(換気棟)」を設置するというのがおすすめ
です。
これは屋根裏の湿気を外部に排出し、湿気を溜まらなくなせるものです。
棟換気を設置することで、換気性を高めることができるので、貫板や棟板金などの部材の劣化を遅らせることができるのです。

・メンテナンスはできるだけまとめて行う
貫板や棟板金だけのメンテナンスを行うというのは効率の悪い作業となります。
屋根の工事の場合は足場を組み立てる必要があるため、その時に他の屋根材や下地材などについてもまとめて補修してしまう、メンテナンスしてしまうというほうが効率的となります。

まとめ
貫板は屋根の頂上部分にある棟板金を固定するための重要な部材となります。
貫板が劣化してしまうと棟板金を固定する力が弱くなってしまい、雨や風によって棟板金が飛散してしまう、落下してしまう原因にもなります。
ただ、貫板の確認やメンテナンスを行うためには棟板金を外して行う必要があるために、棟板金についても一緒にメンテナンスを行うのが効率的となります。
昔は木製のものが多かったのですが、近年では耐久性が高い樹脂製のものが増えてきているということもあるため、交換のタイミングで樹脂製のものにするのも良いでしょう。