お住まいの瓦は何瓦?屋根瓦の種類と特徴を解説

お住まいの瓦は何瓦?屋根瓦の種類と特徴を解説

瓦屋根のメンテナンス、瓦屋根を利用したいと思っていても瓦には色々な種類があり、それぞれに特徴があるためにどういった屋根を選ぶのか、どういったメンテナンスが必要なのかが非常に重要となります。
そこでここでは屋根の種類や特徴について順に紹介していきたいと思います。

屋根瓦の種類について

瓦には色々な種類があり、それぞれにメリットやデメリットがあります。
ここではそれらの瓦の特徴について紹介していきます。

粘土瓦

瓦の種類

粘土瓦は名前の通りに天然の粘土を素材とした瓦で、昔からあるタイプの瓦となります。
粘土を瓦の形にしてそれを焼いて完成させていきます。
粘土瓦は「日本瓦」「和瓦」「陶器瓦」など色々な呼ばれ方をすることがあります。
特徴としてはとにかく「耐久性が高い」ということがあります。
奈良の寺院などでは1400年前の瓦がそのまま使われているということもあります。
さらに耐熱性、耐火性、防水性、防音性などにも優れているというメリットがあります。
デメリットとしては「重量が重い」「値段が高い」ということがあります。
特に「重さ」については近年耐震性に関係するものとして重要視されています。

粘土瓦には大きく分けると「釉薬瓦」と「無釉瓦」という2つの種類があります。
それぞれに違った特徴があるので押さえておきましょう。

・釉薬瓦
釉薬瓦は粘土を瓦の形にした上で釉薬(ガラス質の粉末)をまぶして焼いた瓦のことを指しています。
基本的には茶碗などの陶器類と同じ仕組みとなるため「陶器瓦」と呼ばれることがあります。
釉薬瓦は釉薬をまぶしていることによって耐久性や耐水性が向上するというメリットがあります。
さらに釉薬を種類によって色、艶などを選ぶことができるため、幅広く使いやすいという特徴もあります。

・無釉瓦
こちらはその名前の通りに釉薬を使わないで仕上げた瓦です。
「いぶし瓦」「素焼瓦」などと呼ばれることもあります。
その中でもいぶし瓦は落ち着いた雰囲気のある銀色になるのが特徴的です。
和風の家にぴったりとくる瓦と言えるでしょう。

セメント瓦

瓦の種類

こちらはセメント、砂、水を混ぜたものを瓦の型に流し込んで形成し、その後に塗装をして仕上げたものとなります。
見た目や形が粘土瓦に似てはいますが、まったくの別物だと言えます。
セメント瓦は色や形をある程度自由に作ることができますので、建物の形状や色合いに合わせやすいというメリットがあります。
また、耐熱性や耐火性に優れていることも長所と言えます。
ただ、セメント瓦は塗装仕上げの瓦のために、定期的に塗装補修をする必要があります。
塗装をしなければ瓦自体に防水性がないために、瓦がひび割れしたり水漏れしやすくなってしまいます。
塗装メンテナンスが必須になるということを押さえておきましょう。

プレスセメント瓦

瓦の種類

こちらはセメントと砂をメインの原料としている瓦です。
作成する際に途中で加圧形成されるためにプレスセメント瓦という名称がついています。
この瓦も形や色が豊富で選びやすいことから建物に合わせやすいというメリットがあります。
また、初期費用が安くすむために初期コストを抑えたいという人にもおすすめの瓦となっています。

コンクリート瓦(モニエル瓦)

瓦の種類

コンクリート瓦はセメント、水、骨材を混ぜたものを押し出し形成し、着色セメントスラリー塗装、クリアー塗装をして養生させたものです。
ここで使用する着色セメントスラリーとはコンクリートと同様の無機質着色剤によって塗装した防水層を意味しています。
この塗装によって防水性を向上させています。
また、こちらのコンクリート瓦も形や色の種類が豊富ですので、建物に合わせやすくなっています。
さらに防水性、耐熱性、耐火性にも優れているために性能の良い瓦となっています。

屋根瓦によってかかる費用の相場とは

屋根工事、補修、補強工事を行う際にはそれぞれの瓦の種類によって大きく費用が違ってきます。
ここでは使用する屋根瓦ごとの費用の相場を紹介していきます。

粘土瓦のメンテナンス費用について

粘土瓦のメンテナンスをする際には大きく分けると「葺き替え」と「カバー工法」の2つの種類があります。
葺き替えとは屋根材の入れ替えを行う工事です。
既存の瓦をすべて撤去して、その上で新しい瓦を葺いていきます。
足場の組み立て費用や屋根材、人件費などに加えて撤去費用、撤去した瓦の処分費用がかかってくるために費用は高くなります。
粘土瓦以外の屋根材に交換するということも可能で、このタイミングで金属屋根などに交換するということもあります。
新しい屋根材を何にするかによってかかってくる費用は違ってくるのですが、たいていは100~200万円前後の費用がかかってきます。
カバー工法は既存の屋根材の上から新しい屋根材を設置するという方法です。
既存の屋根材の撤去費用や処分費用がかからないために葺き替えよりは安く工事ができます。
ただ、既存の屋根の劣化具合があまりにもひどい場合はカバー工法は利用できないということがあります。
その場合は葺き替え工事をすることとなります。
カバー工法を行う場合は60~120万円程度の費用がかかります。

▷カバー工法とは?

▷葺き替え工事とは?

セメント瓦などのメンテナンス費用について

セメント瓦などのメンテナンスを行う際には上記の「葺き替え」「カバー工法」に加えて、「塗装」があります。
塗装については既存の瓦の塗装をし直すというもので、どれだけの費用がかかるかは使用する塗料の種類によっても変わってきます。
塗装の際にも足場の組み立てや人件費などはかかってきますので、それに塗料の代金を合わせた費用がかかることとなります。
たいていは50~80万円程度の費用となっています。

費用についてはどういったメンテナンスを行うのか、どういった屋根材や塗料を使うのかによって変わってきますので、それらも合わせて考えていくと良いでしょう。

屋根瓦の耐用年数と選び方について

屋根瓦はその種類によって耐用年数が違ってきます。
瓦を選ぶ際にはそうした耐用年数も踏まえて選ぶ必要があります。
ここでは瓦の耐用年数と瓦を選ぶ際のポイントについて紹介していきます。

粘土瓦とセメント瓦の耐用年数について

粘土瓦は釉薬瓦で50~100年程度無釉瓦で30~50年ほどとなっています。
屋根材の中でももっとも長い耐用年数だと言えるでしょう。
そのため瓦自体はほとんどメンテナンスを行う必要がないのですが、瓦を支えている漆喰などの耐用年数が20年ほどですので、そちらのメンテナンスは行う必要があります。

セメント瓦の耐用年数は30~40年ほどとなっており、こちらも屋根材の中では耐用年数は長い方ですが、10年を過ぎると塗装が剥げてくることがあるため、10~15年ほどで塗装メンテナンスを行う必要があります。

瓦を選ぶ際には目的に応じて選ぶ

瓦にも粘土瓦やコンクリート瓦などさまざまな種類のものがあります。
どういった目的で瓦を選ぶのかをはっきりさせておくと適切な瓦を選ぶことが可能となります。
例えば「初期費用を抑えたい、コスト重視」「見た目にこだわりたい、デザイン重視」「長い間安全に使いたいので耐用年数重視」などの選び方があります。
自分がどういった目的で瓦を選ぶのかをはっきりさせておけば失敗が少なくなります。

信頼できる瓦メーカーの製品を選ぶ

日本では「瓦の三大産地」として以下の3つがあります。
三州(愛知県):「鶴弥」や「新東」など瓦総合メーカー系として有名
石州(島根県):「シバオ」や「丸惣」など和瓦に強い
淡路島(兵庫県):「登瓦製造所」や「井上瓦産業」などいぶし瓦に強い
こういった生産地の瓦は長く使われているもので、信頼できるメーカー製品となっています。
それぞれに強みがありますので、自分が選びたい瓦をこの産地から選んでいくと効率的です。
瓦は良い製品だと50~100年持つほどの屋根材ですが、質の悪い瓦はすぐに割れてしまう、欠ける、ひび割れするといったものもあります。
やはり信頼できるメーカーの製品を選ぶほうが安全だと言えます。

信頼できる施工業者に依頼する

屋根のリフォーム工事、メンテナンス工事は葺き替えやカバー工法など工事の種類が違ってはいるものの高額な費用がかかる工事となります。
そのために「高額な費用を支払ったのに満足いく施工ではなかった」「必要以上に高額な費用がかかった」ということがあります。
また、中には悪徳業者もありますので、そういった業者にひっかからないようにすることが重要となります。

もし依頼しようとしている業者が以下のような対応をした場合は要注意です。
・現地調査、屋根の点検調査にかかる時間が異常に短い
・屋根の上に上がって点検しない
・見積書が「一式」などでまとめられていて詳細がない
という場合です。
屋根材、特に瓦屋根の場合は屋根のうちのどこが破損しているのか、どこに補修する必要があるのかをしっかりと点検する必要があります。
にも関わらず、15分もかからない時間で点検が終わったりするということはしっかりとした点検をしていないということになります。
適正な診断をしていないまま工事に入ろうとする業者には要注意です。
また、屋根の補修工事にも関わらず、屋根に上がって点検しないというのは論外です。
下から見ただけでは屋根の点検はできません。

また、見積書にも要注意です。
施工方法、原材料費、使用する道具、足場の組み立て、人件費などが詳細に書かれていてこその見積書です。
これらがまとめて書かれている、「一式」として書かれて合計金額しか書かれていないという場合には要注意です。
できれば見積書は複数の業者から相見積もりをした方が安心です。

まとめ
瓦屋根は近年減りつつはありますが、まだまだ安定した人気を誇っている屋根材です。
瓦にも色々な種類がありますので、どういった瓦を選ぶのかは目的に応じて考えると良いでしょう。
また、メンテナンスの周期や方法も違ってきますので、瓦に合ったメンテナンス方法を選んでいきましょう。

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