行政は何故屋根の軽量化を推進しているのか?

「屋根を軽量化するとよい」と言われますが、その理由は地震の影響を受けづらくするためです。

世界の中でも比較的地震の多い日本では、昭和56年5月31日以前の耐震基準で建てられた住宅の耐震改修が必要だと言われています。

行政でも住宅の耐震改修を推進しており、屋根の軽量化もその推進している工事の一部。

自治体によっては補助金が交付され、国では所得税の特別控除を設けるなど、条件によっては行政制度を活用することも可能です。

特に屋根材として重量のある瓦屋根を葺き替えると、屋根の大幅な軽量化が見込めるでしょう。

屋根を軽量化するために使われる屋根材や、屋根を軽量化するメリットをご紹介します。

地震対策に屋根の軽量化を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

瓦屋根を軽量化すると地震対策になる理由

地震で家が揺れると、屋根の重みによっても揺れ方に差が出ます。

同じ構造の家であれば、屋根が重たい方が大きく揺れ、軽い方が揺れは小さくなるでしょう。

建物が揺れるとき、柱や壁に揺れが伝わることで負荷がかかります。

そのため、屋根を軽量化した方が、地震による被害を受けづらいとされています。

経年劣化によって屋根の改修を行う時、屋根の性能をより向上させるため、葺き替えによって軽量化するのも選択肢の一つです。

屋根の軽量化における屋根材の比較

『ガルバリウム鋼板』、商品によっては『ジンカリウム鋼板』と言われる屋根材は、屋根を軽量化したい場合に多く用いられる屋根材です。

屋根材の中でも最も軽量であり、耐震性能の向上を目的とした屋根の葺き替えや、カバー工法に用いられています。

各屋根材の重量を以下の表で比較しまとめました。

屋根材 重量(1m2あたり)
土葺き瓦屋根 約60kg
瓦/セメント瓦 約40~50kg
スレート屋根 約20kg
ガルバリウム鋼板(ジンカリウム鋼板) 約5kg

 

屋根と地震の関係性が重要視される前は、台風による瓦の飛散被害を防ぐことが優先され、土葺きによる工法が用いられていました。

瓦屋根の場合、特に土葺きの場合には、重量が非常に大きくなります。

上記の表は、1m2あたりの重量を表していますが、実際の屋根面積は100m2前後ほどで、重量差はより大きく感じられるでしょう。

重量の大きな瓦屋根をガルバリウム屋根に葺き替えると、大幅に軽量化できることが分かります。

瓦屋根だからといって家の耐震性が低いとは言えない

住宅設計段階では、地震の揺れを考慮した上で屋根などの建材が選定されています。

家自体に耐震性能が十分にあれば、瓦屋根などの重量がある屋根でも問題なく使用可能です。

屋根の軽量化のほかに、耐震改修を行う補強箇所として以下が挙げられます。

  • 基礎
  • 接合部 など

家の耐震性能は、屋根以外の要素も含め総合的に判断されることから、重たい屋根だからと言って必ずしも軽量化が必要なわけではありません。

特に瓦屋根ならではの趣ある重厚感は、他の屋根材ではなかなか感じられないもの。

葺き直しなどのメンテナンスで長く瓦屋根を楽しむことも、納得のいく選択をする上で大切です。

「瓦屋根が好きだけれど耐震性に不安がある」場合には、耐震診断の上、屋根材以外の部分で対策を行うとよいでしょう。

旧耐震基準の住宅を耐震改修する場合、条件を満たせば『耐震改修に係る所得税額の特別控除』が受けられます。

【参考】国土交通省|耐震改修に係る所得税額の特別控除

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001487858.pdf

瓦屋根を軽量化する際におすすめの屋根材

地震対策として瓦屋根を軽量化する際、おすすめの屋根材は以下の通りです。

  • ROOGA(ルーガ)
  • スーパーガルテクト
  • ディプロマットスター、エコ グラーニ

それぞれの特徴を確認してみましょう。

ROOGA(ルーガ)

ルーガは、屋根材や外壁材を多く取り扱っているケイミュー株式会社から発売されている「美しい防災」をコンセプトにした商品です。

『美しさ』と『防災』の観点から、瓦屋根に似たビジュアルながら、軽量化を実現しています。

瓦屋根のような見た目の屋根にしたいけれど、地震対策をしたいという場合にはぴったりの屋根材です。

スレートと同じ素材からつくられていますが、豪雨や台風にも強く、割れにくいことから、防災にこだわった屋根材として選ばれています。

カラーバリエーションも豊富で、ブラックからブラウン、オレンジ、レッドまで展開しているため、洋瓦の屋根の葺き替えにもおすすめです。

スーパーガルテクト

ガルバリウム鋼板の中でも、耐久性を高めたSGL鋼板を使用した金属屋根材です。

断熱材が一体型となっており、遮熱性能もあることから、省エネ性能にも優れています。

金属であるため、割れにも強く軽量であることから地震対策として選ぶ屋根材におすすめです。

グレードによって保証期間や値段や性能に差があるので、比較して選択しましょう。

カバー工法にも多く用いられている、人気の屋根材です。

ディプロマットスター・エコグラーニ

ガルバリウム鋼板の屋根材の表面に、セラミックコートによって着色された、細かな石粒が葺きつけられています。

ガルバリウム鋼板は雨音が響きやすい特徴がありますが、自然石粒仕上げであることからそのデメリットが解消できる屋根材です。

焼き物をする際の着色と同じ方法で色付けされており、色褪せのリスクが少ないのもメリットの一つ。

自然石粒仕上げには30年の保証がついています。

屋根を軽量化する際、スレート屋根を選ぶのは?

瓦屋根の場合、軽量化を考えるとスレート屋根という選択肢もあります。

スレート屋根を選ぶメリットは、初期費用が削減できることです。

ただし、再塗装までの期間が短く、長期的なメンテナンスコストがかかりやすいデメリットがあります。

長く住む予定のある家ならば、より屋根を軽量化でき、高性能でメンテナンスコストが抑えられるガルバリウム鋼板を選ぶのもよいでしょう。

葺き替えの予算や、屋根に求める性能など、バランスを考慮して検討してください。

瓦屋根と比較して軽量化できる

瓦屋根よりもスレート屋根の方が軽く、屋根が軽量化できます。

ただし、耐震性能を大きく向上させたい場合には、より軽量化できるガルバリウム鋼板の屋根材を選択するとよいでしょう。

スレート屋根が1m2あたり約20kgであるのに対し、ガルバリウム鋼板屋根は約5kg。

約4分の1の重量となります。

初期費用が安い

スレート屋根、ガルバリウム鋼板屋根、瓦屋根を比較すると、それぞれの単価目安は以下の通り比較できます。

屋根材 単価(1㎡あたり)
スレート 6,000円
ガルバリウム鋼板 8,000円
13,000円

 

スレート屋根は安く、カラーバリエーションも豊富なので、普及率の高い屋根材です。

長期的なメンテナンスコストが必要

スレート屋根だと10~15年ほどで再塗装が必要となります。

スーパーガルテクトなど耐久性の高いガルバリウム鋼板の屋根の場合、商品によっては再塗装の必要がなく、長期的なメンテナンスコストが軽減できるでしょう。

まとめ

地震対策に屋根を軽量化する方法は有効です。

瓦屋根のメンテナンスを検討中の方は、好みや予算、性能などを総合的に考慮して葺き替えや葺き直しの選択を行いましょう。

屋根材選びに迷ったときには、屋根の状態を確認でき、専門知識の豊富な屋根修理業者に相談しながら選ぶと安心です。

町田市で瓦屋根のメンテナンスや軽量化を検討中の方は、山田工芸までご相談ください。